久しぶりのアートフェア東京に、資産家のおじさまがた2名と出かけてきました。
ひとりは一度、フェアに来場した経験があり、もう一人は全く初めて。少し緊張気味の面持ちででしたが、「予算30万円で、購入したい作品を選んでみましょうか」と提案したら、少し気分が上がったようで、意気揚々と会場に乗り込みます。
会場内では爽やかな笑みを浮かべつつも眼光鋭いギャラリストが、頭のてっぺんから足先まで、こちらの人となりとスキャンしています。私も見られているのを感じながら、「こういう世界は久しぶりだなぁ」と、以前はギャラリストとしてお客様の様子を観察していた様子を思い出しました。
この人の資産状況は?
購入したアート作品を大事にできるタイプの人か?
今日は何の目的でここにいるのか?
服装や立ち居振る舞いで、おおよその人物像を想定して、話しかけるか否か、会話の内容をどうするか、瞬時に判断するのがギャラリストなのです。特に骨董商の方々は、立ち居振る舞いが洗練されていて素敵でした。
一巡りして、会場を出ると、向かったのはラーメン屋さん。知る人ぞ知る銀座の名店、「支那麺 はしご」。こってりしたカツが入った排骨担々麺(ぱいこーだんだんめん)が名物で、餃子も美味しい。
餃子を頬張りながら、おじさまがたに今年のアートフェア東京の印象を聞かれ、こう答えました。
・数年前と比べて質と量の両面で熱量を感じられない(コロナで海外コレクターの来場が難しい点が影響していると思われる)
・名前を知らないギャラリー(ということは新興のギャラリーさん)が増えた
・中堅どころで参加していそうなギャラリーさんを見かけなかった
・以前の感覚と比較して、全体的に値付けが上がっているよう
・アニメのような作品、伝統工芸の技術を下地にした作品など、日本独自の技術や美意識に基づいた作品がぐっと増えた
おじさまがたの意見はこうです。
・作家の略歴を見ても、なにをどう判断したらよいかわからない
・コレクターも単に客としてだけではなく、作品を保持するパートナーとして見られるというのは新鮮
・美の巨人たちで見ていた作家と作品に出会えて嬉しかった
・欲しい作品があったけど、飾る壁がない(予算オーバーの50万円でも買いそうな勢い)
・嫁に作品の写真を送ってみたら、好きじゃないと言ったのでNG
・価格をきていいかわからなかったけれど、積極的にプライスリストを見せてくれた
アートフェアは「祭り」ですから、会場を訪れるだけでも十分に華やいだ気持ちになれ、楽しいものです。おじさまがたには、アートフェア東京に出展しているギャラリーのお店の方も訪ねてみることをおすすめしておきました。
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