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アート投資と株式投資を比較してみる



最近、株式投資をはじめました。


株式投資を通じて、経済の仕組みや世界のニュースを読み解く物差しを新たに獲得でき、投資で利益がでるかどうかよりもむしろ、身銭を切って勉強する効果を日々、ひしひしと感じています。


株式投資のためには、こんな本を読んでいました


上記の読書リストは、上から順番に読むと、株式会社の基本的な仕組みと株式投資のベーシックがよく理解できます。特に基本的な会計の考え方の理解が基礎知識として役立っています。その他の情報ソースはビジネス系ユーチューバーと王道の日経新聞。


素人ながらも株の仕組みを理解すると、時に「アート投資」として理解されるアート作品の売買の場を思い出すようになりました。私は20代のころ、あわせて4年ほどアートギャラリーに勤めていた経験があり、アートマーケットは私にとって身近なものだったからです。当時は銀座界隈のオークション会社が開催するオークションの下見会に足繁く通い、実際にオークションにも参加していました。


でははたして、アート投資は株式投資と比較して、どう有用なのでしょうか?


友人は若い頃、ちょっと名の売れた画家と付き合っていて、誕生日プレゼントに絵画をプレゼントしてもらっていました。その画家と別れた友人は、数十年たった頃に断捨離ついでにその絵画をオークションに出品し、その絵は50万円ほどで落札されていました。手数料などの諸経費を差し引いても、プレゼントは45万円ほどになったでしょう。


私の記憶では、友人の持っていた絵画はプレゼントされた当時、20万ほどの市場価格だったように記憶しています。それが数十年で倍以上の価格で売買されたのです。


このエピソードだけを聞くと、アート投資も悪くないように思えるでしょう。けれど、今やネットで誰でも1万円以下でも気軽にはじめられる株式投資と比べて、アート投資は全く気軽ではありません。


アート作品を販売するときには、オークション会社に作品の持ち込みをする必要があります(価値ある作品の売買を希望する場合は、アート専門のオークション会社以外での取引はおすすめしません)。日本にもオークション会社は複数あり、それぞれに取り扱い作家や作品タイプ、価格帯に得手不得手があるものです。


アートのオークション市場になれていない人にとって、オークションでの売買の仕組みを理解して、より有利に手持ちの作品を売却するのは、至難のわざと言ってもいいでしょう。オークションでは時に作品が不落札になる場合もあり、その場合はカタログ掲載料など数万円の手数料を払う必要もあるのです。


そもそも、どの作家の作品を買えばよいのかについても、非常に難しい選択です。日本画の作家はここ数十年、価格が下落傾向にあります。なぜなら日本経済が長らく停滞しているから。一方で中国人作家は20年ほどで、無名だった作家がオークションで数億円の売買を記録するほどの成長ぶりです。中国経済と連動して、中国人作家のアート作品の価格も目を見張らんばりに上昇をしているのです。つまり、アートの価格と世界経済は切ってもきれない関係なのです。しかしこれは、各国の富裕層が自国の文化をどう捉えているのかといった、お国柄も反映されるために、その国の経済とその国出身の作家の作品価格は、相関はしますが、相関係数はケースバイケースとしか言いようがないのです。


その他、アート投資の難しさを語りだすと、枚挙にいとまがないのですが、それでもアート投資にチャレンジしてみたいという方におすすめなのが下記の考え方です。



・アート作品は数十年長期保有することを前提で買う(株で言えば長期投資一択)
・オークション市場ですでに売買されている作家の作品を買う(できれば日本国内のオークション会社よりも、世界的オークション会社のクリスティーズやサザビーズで売買の記録がある作家がよい)
・なるべく一点もののユニークピースを買う(版画などは複数存在するので不向き)
・世界的に名の知られているギャラリーで購入する(作品の真贋や来歴の信用度に影響があるため)
・作品を保有したら、劣化しないよう管理に気を配る

基本中の基本となる考え方としてはこんなところでしょう。


それなりに勉強をすれば、1ヶ月で数万円はすぐに稼げてしまう株の世界と比べれば、アート投資は途方もない時間と学びの労力が必要なように感じます。商売にするのでなければ、あまり割りが良いようには感じられません。


個人的なおすすめとしては、お金を増やしたいならば株式投資、美意識を育てたいのであればアート投資でしょうか。良い作家のよい作品を所有することができれば、日々の暮らしで美意識を育てるとともに、自分の死後は美術館に寄贈して、人類の叡智に100年を超える貢献をすることも可能です。アートには常にお金以外の価値がたっぷりとあり、金銭的な価値は付加的であるという感覚が、実態に近いのかもしれません。


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